気になる原油価格 (2020.06.03)

6月 3, 2020 気になる
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6月3日の原油先物は上昇。ただ、WTI連動ETFでの原油への投資は注意が必要。コンタンゴにご用心。

原油価格は新型コロナの発生地である中国の景気改善や他国の経済活動再開を受け、ここ数週間に4月の安値水準から大幅に上昇。 

主要産油国が減産期間を延長するとの期待や新型コロナウイルス危機からの回復が燃料需要を支えるとの見方が背景。

米WTI先物は6月3日、一時1バレル=38ドルを超えて上昇。(その後、下落。)なお、前日も3.9%の上昇。北海ブレント先物も一時3カ月ぶりに40ドル台を超えた。

これまでの報道によると、石油輸出国機構とロシアなど非加盟産油国で構成するOPECプラスは日量970万バレルの減産合意について、6月4日にも開催が見込まれるオンライン会合で7月か8月まで延長する可能性がある。

今後の原油価格に影響を与える可能性が高いファクターは、需要サイドでは、①新型コロナウイルスの第2波の有無と実体経済回復のスピード(財政政策並びに金融政策の下支えの規模とスケジュール)、②米中間の摩擦激化の有無、そして、供給サイドでは、③今後の減産スケジュールなどに注意が必要。

なお、足元、原油先物の直近限月の価格がマイナス40.32をつけた4月20日以前からWTI連動ETFに投資をしていた我慢強い投資家であっても、残念ながら思ったほどパフォーマンスが出ていないと思われる。

これは、4月20日周辺で先物のロール(近い限月の売却と、次以降の限月の購入の売買の組み合わせ)を運用会社がETF内で行った際、売買価格差(コンタンゴ:先の限月のほうが近い限月より高いこと。4月20日周辺は凄まじいコンタンゴ。結果、ETF1株あたりの保有先物枚数の減少に。)により、きつく損失が出ている可能性がある。今回の場合、特にこれが大きい。

このため、原油市場の動向をそれなりに予想できていたとしても、ロールの際のETF保有先物枚数の減少で、ETF価格は原油価格のリバウンドを十分に獲得できないことがある。「あれ?」と思うことがあると思うので、ご注意を。以下の最初の2つのグラフを底からの反発の割合を見比べると差異は明白。

また、万一のマイナス先物価格再来の可能性に備え、ETF運用会社においても、直近限月ではなく、先の限月を使っていると想定され、今後も直近限月の原油先物市場のリバウンドとWTI連動ETFのパフォーマンスにも多少なりとも差異が出てくると思われる。

なお、本日6月3日夜(日本時間)にEIAより米国原油在庫量が発表された。米国の原油在庫量は予想を大きく下回り、減少。4日にも主要産油国による減産期間の延長が予想されていることに加えて、テクニカル(需給)の観点からは追い風。

投稿者: CFA

米国証券アナリスト、日本証券アナリスト検定会員。また、経営学修士号(MBA)保持者ならびにベータ・ガンマ・シグマ所属。 仕事でも色々なことを考えるので、投資にあたって面白いと思った情報を継続的にご紹介します。皆様のご投資の参考になればと思い、Finepresa(フィネプレサ)を立ち上げました。 よろしくお願い致します。