気になる金融セレクト・セクター SPDRファンド

9月 17, 2020 気になる
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まだタイミングが早すぎますので、機が熟するのを待つ必要がありますが、金融セクターへの投資も今後中期的に見てコロナ禍からの回復プロセスを考えるときに投資妙味が出てくる可能性が高いです

金融セクターへのエクスポージャーを取るのに適している投資対象の一つである、「金融セレクト・セクター SPDRファンド」(ティッカー:XLF)を用いて、以下まとめてみました。

まずは金融セクターの過去3か月間のパフォーマンスです。以下ご覧の通り、特に方向感もなく、取引量も増えていません。市場の大多数は回復プロセスのリバウンドを狙うにはまだ機が熟していないと考えているようです。

(出所:Finepresa)

ファンダメンタルズの観点からは、今回のコロナ禍は銀行の貸出基準などとは関係がなく、純粋に外部要因で、銀行は金融システム安定化の手段になっています。このため、コロナ禍による企業の倒産の影響を受けた場合に、直接、間接、様々な手段で銀行救済が行われる可能性があります。現在は銀行の自己資本比率を高めに維持するため、外部流出となる配当は停止されています。

しかし、ECB銀行監督委員会副委員長のメルシュ専務理事は9月11日、ユーロ圏の銀行に配当を凍結するよう勧告していた内容を12月に見直すことを言及しています。

①(緩和的な金融政策と拡張的な財政政策で)期待インフレ率上昇に伴い、イールドカーブがスティープ化し(銀行経営にとってはプラスです)、②銀行の配当が再開することがあれば、銀行の株価上昇の素地が整ってきます。

一方で注意点は、「財政の崖」です。銀行の貸し渋りを防ぐため、政府保証を提供し続けていますが、政府保証を提供する限り財政措置が必要になります。仮に財政の問題から「財政の崖」を迎え、政府の支援が打ち切られた場合に、銀行関連では不良債権の増加やその懸念を通じて貸し渋りが発生し、信用創造プロセスがうまく機能せず、結果として株価下落につながる可能性があります。

テクニカルの観点からは、以下の一目均衡表が興味深いです。

雲(紫色の区域)が基準線(青色の実線)の真下にあり、価格の支持帯(これ以上下落しにくい価格帯)を形成しており、加えて、転換線(赤色の実線)は基準線(青色の実線)の上にあり、価格が上昇するモメンタムを形成しやすい需給になっており、これ以上の価格下落は短期的には可能性が低くなってきています。

金融セクターは焦らずにじっくりと様子を見ながら、コロナ禍からの回復過程で確りと取り組みたいセクターです。

ご参考になれば幸いです。

投稿者: CFA

米国証券アナリスト、日本証券アナリスト検定会員。また、経営学修士号(MBA)保持者ならびにベータ・ガンマ・シグマ所属。 仕事でも色々なことを考えるので、投資にあたって面白いと思った情報を継続的にご紹介します。皆様のご投資の参考になればと思い、Finepresa(フィネプレサ)を立ち上げました。 よろしくお願い致します。