気になるポートフォリオ運用(成長のエンジン)

6月 17, 2020 気になる
15+

これまで、気になるポートフォリオ運用(1)、(2)において、伝統的なポートフォリオの目安となる株60% / 債券40%の組み合わせで運用をした場合どのような期待収益率となるかを見てきた。

市場の成長をとらえる株式60%の部分で何を選ぶかが、ポートフォリオの収益性に大きく影響を与える。「成長のエンジン」は何がよいのかという観点でいくつかアイディアをご紹介したい。

ここでも、国内株と同様に、日本国内で容易に売買できる東証上場ETFの活用を考え、主要なETFの過去5年間(2015年5月末~2020年5月末)のプライス・リターン、トータル・リターン、年率のトータル・リターンを計算した。

その結果は以下の通り。

(為替ヘッジをしていないETFなので、為替の影響がパフォーマンスの数字に含まれている。)

過去5年間、成長のエンジンを何にするかによって、なんと株60%の部分は年率で-7.4%から+13.1%まで違いがあった。(5年間の累計だと、-31.8%から+85.5%まで違いがあった。)

ぱっと見、NASDAQ-100指数に連動するETFを成長のエンジンとすれば、2015年5月末から2020年5月末までの5年間で+85.5%になって「素晴らしい!やっぱりNASDAQ。アマゾンに、アルファベット(Google)、アップル、テスラ、スターバックスなど最高!」と思うが、時期をずらすと見え方は全く異なる。2000年3末から2005年3月末までの間、NASDAQ-100指数(円換算)はなんと-64.5%。年率でも-18.71%。「NASDAQ、怖い。」となる。

リスク許容度にもよるが、ポートフォリオ運用で、ある程度安定的に運用することを考えるとき、やはりNASDAQ-100指数は強烈すぎる可能性がある。ねらい目は、日本や米国、欧州といったより大きな国や共同体の市場全体の成長性をエンジンとすることで、成長のエンジンが強烈に逆噴射することは避けられる可能性が高い。

興味深いのは、S&P500指数(米国株式)に連動するETFや、日経平均株価(日本株式)に連動するETFが5年間累計でそれぞれ+32.3%と+16.0%(円建て)。年率でも、+5.8%と+3.0%であった。その一方で、ユーロ・ストックス50・インデックス(欧州株式)に連動するETFは5年間累計で-13.0%。年率でも-2.8%であった。

なぜ、過去5年間、米国/日本の株式市場全体の成長は、欧州のそれと比べて高いのか。(言い換えると、欧州はなぜ株式市場全体の成長はそれほど高くないのか。)

こういった違いをある程度正しく理解し、予測できれば、成長性のエンジンを切り替えてポートフォリオ運用を行うことも可能になる。

米国/日本と欧州は何が違うのか。明日に続く。

投稿者: CFA

米国証券アナリスト、日本証券アナリスト検定会員。また、経営学修士号(MBA)保持者ならびにベータ・ガンマ・シグマ所属。 仕事でも色々なことを考えるので、投資にあたって面白いと思った情報を継続的にご紹介します。皆様のご投資の参考になればと思い、Finepresa(フィネプレサ)を立ち上げました。 よろしくお願い致します。