気になる米国の経済対策 (2020.06.20)

6月 20, 2020 気になる
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2002年6月15日、FRBは中堅・中小企業向けの支援策である「メインストリート融資プログラム(MSLP)」について、企業に融資を行う貸主の登録受付を開始。

プログラムに参加する金融機関の登録が完了すれば、企業からの融資申請が可能となる。また、FRBは同日、非営利団体(NPO)も融資申請対象とする案も発表。MSLPは3つの枠組みに分かれており、従業員1万5,000人以下または2019年の年間売上高50億ドル以下の企業を対象に、1社最大3億ドルの融資を受けることが可能。融資額は枠組みごとに異なるが、申請が認められれば最低でも25万ドルの融資が行われ、返済期限は5年、元本の返済は2年間、利息の返済は1年間繰り延べることが可能となる。4月9日に骨子が発表されたが、これまで制度が相次ぎ修正されていたものの、実際の運用に向けた動きが開始。

MSLPは3つの枠組みを通じて、最大6000億ドル(約66兆)相当の融資債権を買い入れる。FRBのバランスシートを活用した、金融政策。中央銀行のバランスシートがどの程度膨らむのか(金融緩和の度合い)に今後も引き続き注意が必要。中小企業局(SBA)の「給与保証プログラム(PPP)」を利用するには規模が大き過ぎる企業への支援を想定。

なお、「給与保証プログラム(PPP)」は財政政策。従業員500人以下の企業が雇用を維持すれば、給与や賃料、光熱費など、最大1,000万ドル(約11億円)までは政府が肩代わりするという仕組み。最大6600億ドル(約73兆円規模)の融資(実態は補助)。この修正案「Paycheck Protection Program Flexibility Act(PPPFA)」が6月5日、トランプ大統領の署名をもって成立。

米国でも金融政策、財政政策ともフルアクセル。

2020年6月19日、FOXビジネスとのインタビューで、FRBのクラリダ副議長は物価安定と雇用最大化というデュアルマンデートを達成するには程遠く、米経済の支援に向けFRBができることはまだあると発言。「われわれは非常に積極的で先見的な措置を講じてきた。」「できることはまだある。やるべきことはもっとあると思う。」

パウエル議長は6月16日、公聴会で半期に一度の議会証言を行い、経済回復の時期や勢いについては著しい不確実性が続いていると言及。

「景気後退が長引くほど、永続的な雇用喪失や事業縮小による長期的なダメージを受ける可能性が高くなる。」

「この疫病が収まったと確信されるまでは、完全に回復する公算は低い」と指摘。

新型コロナウイルス感染「第2波」への懸念はワクチンができるまで、引き続き市場のセンチメントにネガティブに影響すると予想される。加えて、米中間の摩擦激化のリスクにも注意しておきたい。

上記の通り、米国でも財政政策、金融政策両方ともフルアクセルで積極的に経済を下支えしていくことが予想されるので、中長期的には米国株式市場全体の成長につながる可能性が高い。フェアバリューを意識しながら、市場の調整局面ではしっかりとリスクを取っていきたい。

投稿者: CFA

米国証券アナリスト、日本証券アナリスト検定会員。また、経営学修士号(MBA)保持者ならびにベータ・ガンマ・シグマ所属。 仕事でも色々なことを考えるので、投資にあたって面白いと思った情報を継続的にご紹介します。皆様のご投資の参考になればと思い、Finepresa(フィネプレサ)を立ち上げました。 よろしくお願い致します。