6月30日発表された5月鉱工業生産指数速報は前月比8.4%の低下。市場予測を下回った。
4カ月連続の前月比マイナスで、水準は2015年基準では最低を更新。全業種が減少。特に、自動車、液晶製造装置など機械、鉄鋼が新型コロナウイルス感染拡大の影響による受注減で減少。5月は、4月よりも幅広い業種で減産が進んだ。
一方、生産予測指数は6月が前月比5.7%上昇、7月が同9.2%上昇。
自動車の大幅な生産調整が幅広い業種に波及。自動車業界の生産調整の程度は6月、7月と改善する生産計画となっており、生産予測指数は改善を予想している。
なお、それぞれの指数の概要について経済産業省のページで説明されている。以下、抜粋。
<鉱工業生産指数>
<生産予測指数>
鉱工業指数は景気に敏感で、(伝統的な統計の中では)速報性があるため、足元の経済状況を把握する上で、有益である。また、生産予測指数は生産計画をもとに先行き2カ月の生産を予測するもの。
ただ、最近企業は新型コロナウイルスによる影響を生産計画に精緻に織り込んでおらず、必ずしも保守的でない可能性も。5月の生産実績は計画の2倍もマイナス幅が下振れ。
このため、生産予測指数を保守的に読む必要があるかもしれない。外需依存の側面がある一方、外需を支える外国のマクロ経済においても新型コロナウィルス感染第2波への懸念が個人消費の重しとなる可能性が高い。
例えば、米国経済の国内消費は、このままでは7月以降、国内所得の減少へと進み、さらなる景気刺激策が求められる可能性が高い。
足元の相場では、特に製造業セクターへの投資は慎重に行いたい。