コロナ後の世界で、QRコード決済がより拡大していく可能性も。
日本政府は、2019年10月から2020年6月の9ヶ月間、キャッシュレス・消費者還元事業を実施中。キャッシュレス決済を利用する消費者にポイント還元を行う事業者などに対して補助を行うというもの。キャッシュレス決済を導入するための費用の補助を行うなど、キャッシュレス決済の推進が狙い。「未来投資戦略2018」の中で、2027年6月までにキャッシュレス決済比率を4割程度とすることを目指している。
経済産業省が2020年5月21日に発表したキャッシュレス・ポイント還元事業に関する直近の状況は以下の通り。
中小・小規模事業者の加盟店登録数が新型コロナウイルスに伴う非常事態宣言の間でも、堅調に増加。
なお、通常、スマホ決済というと、このQRコード決済か非接触型IC決済があり、キャッシュレス決済の中でも急速に普及しているのがQRコード決済。
店舗側からすると、QRコード決済は店頭にQRコードを掲示しておくだけでキャッシュレス決済が可能になるため、専用端末が不要で、高額な初期導入費用が不要。また、手数料もクレジットカードに比べて安く、手軽にキャッシュレス決済に対応できるという利点。(一方、非接触型決済の場合には、導入にあたり専用端末が必要。)
本日、5月27日付のファイナンシャルタイムズで、英国においてロックダウン期間中に取引がキャッシュレスに急激に移行していったという記事があったが、
日本でも今後そのようになっていく可能性も。
コロナ後の世界で、日本においても同様に益々キャッシュレス化が進むとすると、今後店舗側での導入コストの低さからQRコード決済がより拡大していく可能性も。
ちなみに、決済サービスの収益源は、大きく3つ。
1つ目は、買い物の決済時に、店舗側から手数料を徴収。
2つ目は、加盟店の集客に役立つ、各種の販促支援機能を提供することで、加盟店から広告費やマーケティング費用の獲得。
3つ目は、顧客に各種の金融サービス(分割払い、リボルビング払い)を通じた収入。
マーケットシェアについて、MMD研究所が、18歳~69歳の男女48,208人を対象に2019年12月26日~2020年1月5日の期間で「2020年1月 スマートフォン決済利用動向調査」を実施。QRコード決済を利用したことがある人(n=16,174)に利用したことのあるサービスについて聞いたところ(複数回答可)、トップが「PayPay」で61.0%、次いで、「楽天ペイ」が31.7%、「LINE Pay」が28.7%という結果に。なお、PayPayを運営しているのは、PayPay株式会社。
その株主は、ソフトバンクグループ株式会社、ソフトバンク株式会社、ヤフー株式会社(ソフトバンクグループ会社)。
ソフトバンクグループについては、米中貿易摩擦の激化の影響を受けやすく、投資にあたってより注意が必要。
QRコード決済の市場において、ソフトバンクグループ 対 楽天の構図に。
現在QRコード決済黎明期だが、QRコード決済事業単体での収益性確保というよりは、QRコード決済をとっかかりとしてビッグデータを集め、AI(人工知能)を活用することでさらなる付加価値を提供して収益化していくこと事が今後ますます注力される可能性。
QRコード決済の収益は数字として財務諸表上で見づらいが、データ収集と人工知能等の活用は同時に進んでいく可能性が高く、楽天であれば、フィンテックセグメントのみならず、楽天市場および楽天トラベルのインターネットサービスセグメントの売上収益の成長などに反映されてくる可能性も。