気になる最近のマーケットの下落 (2020.06.12)

6月 12, 2020 気になる
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20200年6月11日の米株式相場は大幅安。ダウ平均は6.9%安、ナスダック総合指数は5.3%安、S&P500種は5.9%安。経済の先行きを巡る不安から、最近の速いスピードでの株高に急ブレーキ。

市場ではこの日の売りは最近の相場上昇ペースの速さによる反動が大きいと言われているが、米国の一部の州で新型コロナウイルス感染第2波の兆候が増えていることも市場心理を圧迫。

まさに先日、想定していた通りの展開。
「個人的には、マーケットの回復する速度が速すぎると心配。マーケットは今後リスクシナリオの変化に敏感になる可能性がある。ヘッジ銘柄を保有しつつ、今後の若干の調整局面に備えて、守りを固くしておき、来る調整局面ではファンダメンタル ズ対比で妙味がある銘柄についてしっかりと投資をしたいところか。」

個人的な経済見通しは、足元の状況においても大きく変わっていない。
①「感染第2波」が起きれば、米経済の試練。景気回復は一段と弱まり、経済再生の道のりも極めて長くなる。②一方で、「感染第2波」が来なければ、米国経済は年後半を通して着実に回復。③そして、「感染第2波」の可能性を見通すのにあたり、ワクチンの出現も重要な要素に。

ダウ株価指数が史上最高値であった2020年2月12日を100として、日経平均、マザーズ指数、ナスダック指数、ダウ株価指数を描いたグラフは以下の通り。マーケットの回復の速度が確認できる。赤色が日本の株価指数。青色が米国の株価指数。デジタル特需に基づき、テクノロジー銘柄が多い東証マザーズ指数や米国ナスダック指数は早いスピードで回復している。

コロナウイルスの影響で減速した経済活動の影響を株価の面ではほぼほぼ取り返しているのが分かる。東証マザーズに至っては、3月のロックダウン本格化の前より20%近く上昇。この市場の評価が転換する速度が速すぎると考えられる。単純な質問で、私たちの生活(経済活動の水準)はロックダウン本格化前とほとんど同じだろうか。

加えて、新型コロナウイルスのワクチンができてない中、新型コロナウイルスの感染第2波の可能性、米中摩擦の激化の可能性は先行き不透明感を高めている。

このため、合理的な価格形成を想定すると、単純で迅速な株価回復にはなりにくい。

なお、ムニューシン米財務長官は11日、米経済専門局のCNBCに対し、「(感染第2波は)さらにダメージを広げる。経済の打撃だけではない。今のところ持ちこたえている医療でも問題が起きる」と話し、「経済を再び閉鎖するわけにはいかない」と言明。

足元、バリュエーションが高くなっている可能性が高く、ファンダメンタルズが堅固な魅力的な銘柄は、これまで割高でなかなか手が出しにくい状況であった。この先の調整局面において、気になる銘柄はチャンスがあれば、ファンダメンタルズ対比で魅力的な価格でしっかりと拾っていきたい。

投稿者: CFA

米国証券アナリスト、日本証券アナリスト検定会員。また、経営学修士号(MBA)保持者ならびにベータ・ガンマ・シグマ所属。 仕事でも色々なことを考えるので、投資にあたって面白いと思った情報を継続的にご紹介します。皆様のご投資の参考になればと思い、Finepresa(フィネプレサ)を立ち上げました。 よろしくお願い致します。