気になるオルタナティブデータ

6月 23, 2020 気になる
10+

オルタナティブデータとは、政府や企業が公式に発表する統計データや決算データとは異なり、IoT(Internet of Things)機器や衛星画像、SNS(Social Network Service)などから得られる非伝統的なデータのこと。

こういったデータを活用することで公式の統計データが出る前に状況を把握、より有効な投資判断につながる可能性。

オルタナティブデータが活用されるようになった理由は、コンピュータ性能の向上による部分が大きい。人工知能や機械学習の登場により多様なデータを迅速に分析できるようになった。

一方で、日本の資産運用業界では、こうしたオルタナティブデータの活用は十分に進んでいない。その要因として、保守的な投資判断、高いデータ購入費用、データ分析人材の不足などの理由が考えられる。海外の運用会社においても、トップダウンアプローチの色合いが強い運用会社では、オルタナティブデータの活用はそれほど進んでいないといえる。

一般的に、オルタナティブデータはアルファを生み出すことを期待されている。だからと言って入手するための費用が高価かというとそうとも限らないのが興味深い。

KPMGの「日本におけるオルタナティブ・データの活用」というレポートによると、
「既に誰もが資産運用に活用しているデータの方が価値が分かっているために高値で取り引きされていて、まだ活用方法が知られていない情報が無料でも手に入れることができるといったケースもあり得るのです。その情報がデータとして価値を生むということが分かった瞬間から、重要なデータとして高値で取り引きされるようになるということも考えられます。」

そして面白いのが、オルタナティブデータの活用にはデータサイエンティストが必須であること。一方で、投資運用に詳しいデータサイエンティスト自体の数が圧倒的に不足している。腕に自信ありの人には、大変興味深い分野といえる。

以前、国家戦略特別区域法改正とスーパーシティ構想を紹介したが、スーパーシティ構想で集まるデータは公共財ともいえる。

データサイエンティストの素養があれば、スーパーシティ構想によって利用可能となった様々なデータを活用することが可能に。日本の資産運用にとってもオルタナティブデータ活用が大きく広がる可能性もある。

今、オルタナティブデータは、投資にとって「ブルーオーシャン」ともいえるかもしれない。

投稿者: CFA

米国証券アナリスト、日本証券アナリスト検定会員。また、経営学修士号(MBA)保持者ならびにベータ・ガンマ・シグマ所属。 仕事でも色々なことを考えるので、投資にあたって面白いと思った情報を継続的にご紹介します。皆様のご投資の参考になればと思い、Finepresa(フィネプレサ)を立ち上げました。 よろしくお願い致します。