月: 2020年5月

気になる景気見通し

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安倍政権は27日に非常に大型の第二次補正予算案を閣議決定。海外でも今回の新型コロナウイルスを起因とする経済危機に政府が積極的な財政出動で対応する流れに。

これまで経済理論では異端とされていたMMT理論(現代貨幣理論)だが、今年2020年の米国大統領選に向けて、昨年来米国においても度々取り上げられてきた。

国債発行に基づく政府支出がインフレ率に影響するという事実を踏まえつつ、変動相場制で自国通貨を有している政府は、税収ではなく、インフレ率に基づいて財政支出を調整すべきだという新たな財政規律を主張する理論。

例えば、日本は変動相場制を導入しており、自国通貨である日本円を持っているが、このような国では(財政赤字を気にすることなく)インフレ率を適宜チェックしながらドシドシ財政出動を調整したら良いのではないかという理論。

一方で、財政出動が積極的すぎて景気が熱くなりすぎたら、財政出動を減らし、国債発行量を増やすことで流通貨幣を回収したり(貨幣の価値を上げたり)、増税する(総需要を減少させる)ことでブレーキを踏み、インフレを防ぐことができるという主張。

言い換えると、財政赤字拡大は、インフレに繋がらなければ問題がないという、積極財政を支持する。

2018年頃から米国で注目を集め始めたが、これまで大多数のエコノミストの反対にあい、実現は不可能と思われていた。昨今の新型コロナウイルスに伴う景気後退に対応するため、緊縮財政の議論は消滅し、否が応でも積極的な財政政策が必要な局面に。

今後、積極財政に伴い需要が作られる一方、緩和的な金融政策で貨幣の供給は増えていく方向。経済成長という意味では、政府ならびに中央銀行ともにフルアクセルで踏み込んでいる。そして、上記のような(異端ではあるが期待感の大きい)経済理論も政府の背中を押す格好。

足元の日本や米国のように、積極財政と緩和的な金融政策というポリシーミックスの場合、労働市場が再度引き締まり、インフレ率が上昇し始めるまでは、中期的には景気は回復する方向性と言える。

一方で、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は5月29日の講演で「新型コロナウイルスの感染第2波のリスクは明白にある。経済再生が大きく遅れかねない」と強い懸念を示した。米経済は段階的に経済活動を再開しつつあるが「感染第2波が起きれば米経済の試練となる」と言及。生活者が不安を抱えたままなら「景気回復は一段と弱まり、経済再生の道のりも極めて長くなる」と長期停滞に陥る懸念を表明。ただ、5月17日には「感染第2波が来ないと仮定した場合、経済は年後半を通して着実に回復するだろう」と言及していることも米国経済の先行きを見通す上で参考に。パウエル議長は「米経済の完全復活には国民が十分な信頼感を持つことが必要になろう。それにはワクチンの出現を待たなくてはならないかもしれない」とも語っている。

まとめると、①「感染第2波」が起きれば、米経済の試練。景気回復は一段と弱まり、経済再生の道のりも極めて長くなる。②一方で、「感染第2波」が来なければ、米国経済は年後半を通して着実に回復。③そして、「感染第2波」の可能性を見通すのにあたり、ワクチンの出現も重要な要素に。

「感染第2波」は経済的なものではなく、感染症の伝播メカニズムなので、投資にあたっては慎重なリスク管理が必要な局面。米中の摩擦激化も追加的なリスクシナリオ。

Next Notes NYダウ・ベア・ドルヘッジETN(2041)をポートフォリオに一部組み込むことで、アメリカでの「感染第2波」のリスクヘッジが有効か。なお、2041はダウ指数が下落すると時価が上昇する国内ETFで、国内株式のように売買可能。

気になる楽天経済圏―楽天 (証券コード:4755)

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成長領域の拡大ならびに楽天経済圏のグローバル化へ強い決意を感じさせる楽天(4755)。

本日、2020年5月30日の報道によると、楽天は楽天バンクアメリカ設立の再申請を行った模様。

昨年2019年7月26日に、楽天は米国で銀行業務を開始するため、楽天カードが全額出資する子会社「楽天バンクアメリカ」の設立計画を発表。(楽天グループでは国内事業においても通常とは逆で銀行がカード会社の子会社。)米国での事業内容は、クレジットカードの発行や加盟店契約業務に加え、無担保個人融資や中小企業への事業融資、預金受け入れも行う内容。資本金は4億ドル(約430億円)で、ユタ州で産業銀行の認可取得を目指していたが、2020年3月に米連邦預金保険公社(FDIC)への申請をいったん取り下げていた。

楽天の2019年12月末までの会計年度(第23期)では、グループ全体の売上高は約1.3兆円であったが、そのうち、楽天カードの売上は、約2,298億で、前年度比約23%増の成長。国内の楽天カード会員基盤の拡大に伴うショッピング取扱高やリボ残高が伸長し、売上収益及び利益の増加に貢献した格好。

楽天バンクアメリカの親会社となる楽天カードの資本金は、2019年12月末時点で約193億円。一方、今回の楽天バンクアメリカの資本金が約430億円になるとすると、資本金という意味では親会社である楽天カードの倍以上。楽天のフィンテック事業は、堅調に成長を続けているが、その中でも規模と成長性両面で牽引しているのが、楽天カード。

今回、その米国子会社の規模を考えた時、楽天フィンテック事業の米国進出への強い意気込みを感じさせる。

直近の楽天グループの海外売上高比率は約20%。上昇の余地は大いにある可能性。2016年の欧州ECモール事業の抜本的見直しなど海外進出で苦戦が続いているインターネットサービスセグメントではなく、フィンテックセグメントでの進出を狙っている模様。

フィンテック事業では、楽天は2017年にヨーロッパでの商業銀行業務を開始。2019年7月には台湾における銀行業認可を取得済み。そして、今回の米国進出。

楽天グループの今後の継続的な成長を考えた時、海外進出はキーになる。

なお、楽天カードにおいては、主に個人顧客を対象とし、また、運転資金の調達を債権流動化と金融機関からの借入金等により賄っていることから、経済環境が悪化し、消費低迷による借入需要の減退、失業率の上昇による自己破産又は多重債務者の増加等が生じた場合、金融市場の情勢変化による金融機関の与信方針の変更があった場合、楽天グループの信用状態が悪化した場合等には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がある。また、貸倒リスクを軽減するための与信管理システムの維持・運営や、債権回収のノウハウを持つ人材の確保に重大な問題が生じた場合、サービス及び経営成績に支障が生じる可能性がある。

これらは、米国でのカード事業展開でも同様と推測されるが、預金を受け入れるのでより安い安定的な米ドルでのファンディング(資金調達)が加わる格好。コロナ後の世界において、営業努力に加え、与信管理システムの維持・運営ならびに債権回収が米国進出にあたりさらに重要となると推測される。

気になるヘッジ取引 ― 米中摩擦激化に備えて

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米中摩擦に関して先行き不透明感が一層高まる中、投資にあたり気に入った銘柄に投資する一方で、多少、ヘッジとなるような銘柄を保有しておくことが役に立つ可能性も。

中国は5月28日、反体制活動を禁じる「香港国家安全法」の制定方針を全国人民代表大会(全人代)で採択。

これに対し、アメリカやイギリス、オーストラリア、カナダは同日、自由の砦として繁栄してきた香港の自由を脅かすことになると非難する共同声明を発表。

さらに、トランプ米大統領は同日、中国に関する米国の新たな政策を5月29日の記者会見で発表すると明らかに。米国家経済会議(NEC)のクドロー委員長は米国は中国の責任を問うことになると言及。

ポートフォリオを米中摩擦激化のリスクシナリオから(部分的に)守るにあたり、ヘッジ取引の例は以下の通り。なお、ETF銘柄の名前にある「ベア」というのは弱気という意味で、経済的に当該指数を売るETFの意味。以下、括弧の中は証券コード。

① 香港ハンセン指数を経済的に売るETFを買う
Next Notes HSIベアETN (2032)

② 韓国KOSPI指数を経済的に売るETFを買う
Next Notes KOSPIベアETN (2034)

③ 米国ダウ株価指数を経済的に売るETFを買う
Next Notes NYダウベアETN (2041)

④ 金の価格に連動するETFを買う
WisdomTree 金上場投信 (1672)

①~④の使用ケースは以下の通り。

①は、米中摩擦激化に伴い、香港ハンセン株価指数が混乱し、下落すると読む場合。
②は、米中摩擦激化に伴い、外需依存度が非常に高い韓国の経済が低迷、その株価指数も下落すると読む場合。
③は、米中摩擦激化に伴い、米国経済ならびにその株価指数への影響も出ると考え、米国ダウ株価指数が下落すると読む場合。
④は、米中摩擦激化に伴い、安全資産としての金の需要が高まると読む場合。

①から④は(④は少し見づらいが)、どれもマーケットが大きく下落した3月下旬にしっかりと上昇。3月の未曾有のセルオフの局面で、確りとしたヘッジの効用があったと言える。

今は守りつつ攻めるということが重要な局面の可能性も。

気になる第2次補正予算(規模)

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安倍内閣はやはり経済政策に安定的に強い。凄まじい規模の第2次補正予算案を今国会に提出し、6月中旬ごろの成立を目指す。

以下、数字が大きいので、日本の2019年の名目GDPが約554兆円だったということをベースに見ていただければと思います。

また、今回の第2次補正予算において、「事業規模」、「財政支出」、「一般歳出」が難しい言葉。意味は以下の通り。

「一般歳出」:一般会計からの歳出。
「財政支出」:一般歳出+財政投融資
「事業規模」:一般歳出+財政投融資+民間投融資

国の会計は、毎会計年度における国の施策を網羅して通観できるよう、単一の会計(一般会計)で一体として経理することが、財政の健全性を確保する見地からは望ましい。予算単一の原則(単一会計主義)。

しかしながら、国の行政活動が広範になり複雑化してくると、場合によっては、単一の会計では国の各個の事業の状況や資金の運営実績等が不明確となり、その事業や資金の運営に係る適切な経理が難しくなりかねない。このような場合には、一般会計とは別に会計を設け(特別会計)、特定の歳入と特定の歳出を一般会計と区分して経理することにより、特定の事業や資金運用の状況を明確化することが望ましい。

以上の趣旨から、我が国の会計は、「財政法」(昭22法34)の規定において、一般会計の他に、特定の歳入・歳出をもって一般会計とは経理を別にする特別会計が設置。平成30年度においては、経過的なものも含めて、13の特別会計。一般歳出は、この一般会計からの支出を表す。

次に、財政投融資とは、政府系金融機関などの財投機関が、財投債などを通じて金融市場から資金調達をし、政策的な必要性があるものに融資等をすること。政府系金融機関等の独立採算での活動。

最後に、民間投融資は、政府系金融機関などが民間金融機関などと組む企業の資金繰り支援(民間部分)を含む。

2020年5月27日夕方に閣議決定された2020年度第2次補正予算案では、一般歳出が31.9兆円、財政支出が72.7兆円、事業規模は117.1兆円。緊急経済対策から第一次補正予算までで事業規模が117.1兆円であったので、累計で約234兆円と倍増累計の事業規模は、日本のGDP(2019年)対比でなんと約42%。今回の新型コロナウイルス対策として、世界でも類を見ない規模。もちろん、日本政府にとっても過去最大。

麻生太郎財務相は27日の閣議後記者会見で、納税猶予による税収見積もりの減少が見込まれ、「(財政状況が)さらに悪くなることを覚悟しなければならない」と指摘。極めて厳しい日本政府の財政状況を認めた上で、追加対策を「やらなければ結果としてもっと経済が落ち込みかねず、覚悟を決めて財政出動にかじを切った。」と言及。

安倍総理、麻生副総理の強い覚悟が財政政策に。

気になるコロナ後の世界(QRコード決済)

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コロナ後の世界で、QRコード決済がより拡大していく可能性も。

日本政府は、2019年10月から2020年6月の9ヶ月間、キャッシュレス・消費者還元事業を実施中。キャッシュレス決済を利用する消費者にポイント還元を行う事業者などに対して補助を行うというもの。キャッシュレス決済を導入するための費用の補助を行うなど、キャッシュレス決済の推進が狙い。「未来投資戦略2018」の中で、2027年6月までにキャッシュレス決済比率を4割程度とすることを目指している。

経済産業省が2020年5月21日に発表したキャッシュレス・ポイント還元事業に関する直近の状況は以下の通り。

中小・小規模事業者の加盟店登録数が新型コロナウイルスに伴う非常事態宣言の間でも、堅調に増加。

なお、通常、スマホ決済というと、このQRコード決済か非接触型IC決済があり、キャッシュレス決済の中でも急速に普及しているのがQRコード決済。

店舗側からすると、QRコード決済は店頭にQRコードを掲示しておくだけでキャッシュレス決済が可能になるため、専用端末が不要で、高額な初期導入費用が不要。また、手数料もクレジットカードに比べて安く、手軽にキャッシュレス決済に対応できるという利点。(一方、非接触型決済の場合には、導入にあたり専用端末が必要。)

本日、5月27日付のファイナンシャルタイムズで、英国においてロックダウン期間中に取引がキャッシュレスに急激に移行していったという記事があったが、
日本でも今後そのようになっていく可能性も。
コロナ後の世界で、日本においても同様に益々キャッシュレス化が進むとすると、今後店舗側での導入コストの低さからQRコード決済がより拡大していく可能性も。

ちなみに、決済サービスの収益源は、大きく3つ。
1つ目は、買い物の決済時に、店舗側から手数料を徴収。
2つ目は、加盟店の集客に役立つ、各種の販促支援機能を提供することで、加盟店から広告費やマーケティング費用の獲得。
3つ目は、顧客に各種の金融サービス(分割払い、リボルビング払い)を通じた収入。

マーケットシェアについて、MMD研究所が、18歳~69歳の男女48,208人を対象に2019年12月26日~2020年1月5日の期間で「2020年1月 スマートフォン決済利用動向調査」を実施。QRコード決済を利用したことがある人(n=16,174)に利用したことのあるサービスについて聞いたところ(複数回答可)、トップが「PayPay」で61.0%、次いで、「楽天ペイ」が31.7%、「LINE Pay」が28.7%という結果に。なお、PayPayを運営しているのは、PayPay株式会社。
その株主は、ソフトバンクグループ株式会社、ソフトバンク株式会社、ヤフー株式会社(ソフトバンクグループ会社)。

ソフトバンクグループについては、米中貿易摩擦の激化の影響を受けやすく、投資にあたってより注意が必要。

QRコード決済の市場において、ソフトバンクグループ 対 楽天の構図に。

現在QRコード決済黎明期だが、QRコード決済事業単体での収益性確保というよりは、QRコード決済をとっかかりとしてビッグデータを集め、AI(人工知能)を活用することでさらなる付加価値を提供して収益化していくこと事が今後ますます注力される可能性。

QRコード決済の収益は数字として財務諸表上で見づらいが、データ収集と人工知能等の活用は同時に進んでいく可能性が高く、楽天であれば、フィンテックセグメントのみならず、楽天市場および楽天トラベルのインターネットサービスセグメントの売上収益の成長などに反映されてくる可能性も。

気になる香港国家安全法

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香港国家安全法は米国による中国への経済制裁に大義名分を与える可能性も。

中国は先週開幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、香港国家安全法を制定する方針を示した。国家の分裂や政権転覆、テロ活動に対処することが目的で、香港に中国の情報機関が設立される可能性も。

本日、2020年5月26日、香港のキャリー・ラム行政長官は、中国政府が制定をめざす「香港国家安全法」について、香港における権利や自由を侵害することはないと強調。

一方、これまでにトランプ米政権は中国に対し、実施を強行すれば強い措置を講じると警告。米国が中国に対し厳しい制裁を科した場合、香港そして米国にも害が及ぶ可能性があるため、米政権の選択肢は限られるとの見方があるものの、ここはトランプ大統領。強い態度の可能性も。

5月6日にはトランプ大統領は、新型コロナウイルスに関して、「真珠湾攻撃よりも、世界貿易センターよりもひどい。こんな攻撃はこれまでなかった」、「これは起こるべきではなかった。発生源で止められたはずだった。中国で止められたはずだった。発生源で止めるべきだった。だがそうならなかった」と発言。

また、ポンペオ米国務長官が5月22日に、米国が一国二制度を前提に関税などで香港に認めている優遇措置を見直す可能性があると示唆していることも考えると、米中貿易摩擦再燃の可能性が高まっている。

これまでに、新型コロナウイルスに関して米国と中国の対立は深刻化しており、貿易に加え、資本取引でも摩擦が強まってきている。

米上院本会議は5月20日、米国に上場する外国企業に経営の透明性を求める法案(「外国企業説明責任法」)を可決。外国政府の支配下にないことを証明するよう求めるほか、米規制当局による会計監査状況の検査を義務付け。3年間、検査を拒否した場合は上場廃止。米国の対中強硬姿勢が一段と強まっている。同法案は2019年に共和党と民主党の議員が超党派で提出したもので、5月20日に全会一致で可決。下院が可決しトランプ大統領が署名すれば成立。

また、米新興株式市場を運営するナスダックは近く、外国企業の上場基準を厳格化。新規株式公開の調達規模に下限を設け、中国資本の上場を事実上制限。

さらに、米政府機関は今月、米公務員年金基金が中国株に投資する計画を中止。

米国による中国への資本取引に関する包囲網が徐々に構築されているように見える。

香港国家安全法はそれら包囲網に大義名分を与えるか。

気になる第2次補正予算案

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アベノミクス、リターンズ。しっかりとした日本のリーダーシップ。しびれます。

安倍首相は本日2020年5月25日、新型コロナウイルスの流行を1カ月半で収束させることができたとして、全国での緊急事態宣言の解除を決定。

また、第2次補正予算を5月27日に成立させる見通しを示し、第1次補正予算と合わせて事業規模は200兆円を超えると説明。

「国内総生産(GDP)の4割にのぼる空前絶後の規模。世界最大の経済対策で、100年に一度の危機から日本経済を守り抜く」と強調。

さらに、総額で130兆円を超える資金繰り支援も実施。

因みにこの規模をアメリカの新型コロナウイルスに関する(大統領選を控えた年の)景気対策と比較しても、なんとほぼ同水準!一方で、日本のGDPはアメリカの1/4。この補正予算の大きさがその経済規模調整後、力強く財政政策に取り組んだ米国対比でも4倍と、安倍首相の強い決意が伝わる。

ご参考までに、2020年3月27日、米議会が可決した新型コロナウイルスに対処する2兆ドル(約220兆円)の大型経済対策法案にトランプ大統領が署名し、同法は同日成立したが、当時、この景気対策は米国のGDPの1割で「規模は過去最大だ」とトランプ大統領は胸を張って説明。

今回、日本のリーダーシップの強い決意をしっかりと見せつけた格好。

さらに、安倍首相は、企業の倒産や資金ショートが懸念される中、「企業規模の大小にかかわらず、政策投資銀行や公的ファンドを通じて劣後ローンや出資など資本性資金を供給する」と説明。

地方創生臨時交付金も2兆円増額。 

企業の家賃支援についても「家賃負担を軽減するため、最大600万円の給付金を新創設する」と説明。 

持続可給付金は売り上げの減少が前年同月と比較できない事業者には給付されていなかったが、新設の給付金は「使い道が全く自由な最大200万円の持続可給付金の対象を拡充し、本年創立したばかりのベンチャー企業も活用できるようにする」と、制度を柔軟なものにすると説明。

5月22日に日銀が臨時の金融政策決定会合で決定した新たな資金供給手段にも言及。「政府と日銀一体となりあらゆる手段を講じる考えだ」

財政、金融の両政策が一体となって、日本経済を力強く下支えする格好。

気になる新型コロナウィルスのワクチン

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米国は、新型コロナウイルスワクチンの年内実用化に向けて、有望なワクチン候補を6株程度に絞った模様。

初期の治験で安全性が確認されたワクチン候補に対して、7月には1株につき2ー3万人の被験者を対象に大規模治験が開始される予定。被験者登録数が合計で10ー15万人に上る可能性も。

治験の期間は、非常に有効なワクチンであれば6カ月程度、またあまり有効でないワクチンは9—12カ月程度の可能性。

ワクチンの候補としては、バイオ医薬大手の米モデルナ(MRNA.O) とNIHが共同開発するワクチンのほか、英オックスフォード大と英アストラゼネカ(AZN.L) のワクチンも候補の可能性。 米ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ.N) 、仏サノフィ(SASY.PA) 、米メルク(MRK.N) のワクチン開発についても、先行候補から1ー2カ月出遅れているものの、初期治験を経た上で夏場にも大規模治験に加わる可能性も。

2021年1月までに米国内で新型コロナワクチンの接種を開始する可能性を、米国の国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のファウチ所長は2020年5月22日に表明。

気になる投資機会 – WTI原油ETF(証券コード:1671)

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2019年末に2500円を超えていたWTI原油ETFは、2020年5月22日の終値は708円。これまでに大きく下落。

2020年2月中旬以降、新型コロナウイルス感染拡大から世界的な原油需要の減少に加えて、2020年3月6日に開催されたOPECと非OPEC産油国の会合(OPECプラス)において、産油国が協調減産の拡大で合意できなかったことを発端に、原油価格がさらに急落。

サウジアラビアとロシアの喧嘩にアメリカが仲裁に入るなど、色々とすったもんだを経て、OPECプラスは2020年4月12日に、5-6月に日量970万バレルの減産を行うことで最終合意。

減産合意では、2020年5月1日に協調減産に踏み切ることになっていたが、サウジアラムコ(サウジアラビアの国営石油会社)は4月25日終了週から前倒しをして削減を開始。

これまでに、この歴史的な減産合意およびその順守状況に原油市場は好意的に徐々に反応。

主要産油国の減産が続き、供給面の改善は進んでいることから、足元では4週連続で原油価格が上昇。

ただ、2020年5月22日は、WTI原油は反落。中国が今年の経済成長について数値目標の設定を見送り、需要回復への不安が広がった。

一方で、「経済活動が徐々に再開すれば、(価格が)じわじわ上がる傾向は続くのではないか」という、石油元売り会社でつくる石油連盟の杉森会長の見通しも。

供給サイドは絞れてきているので、需要動向次第で、WTI原油価格の上昇ならびにそれに連動するWTI原油ETFの価格上昇の可能性があるかもしれないですね。