月: 2020年7月

気になるアマゾン・ドット・コムの四半期決算(2020-2Q)

8+

アマゾン・ドット・コムが米国時間2020年7月30日第2四半期(2020年4~6月期)の決算を発表しました。

<2020-2Q>
売上高:$88.9Bn vs. アナリスト予想 $81.4Bn
EPS: $10.3 vs. アナリスト予想 $1.46

売上高、EPS(一株当たり利益)ともにアナリスト予想を上回りました。
特に、EPSはアナリスト予想を7倍以上上回りました。非常に良い決算でした。
また、売上高成長率も前年同期比+40%でした。(下図をご参照ください。)

非常に良い決算です。

また、アマゾン・ドット・コムの第3四半期の新ガイダンスですが、売上高は$87.0Bn~$93.0Bnを予想しています(0.20%の為替差損の想定を含みます)。

第3四半期はアナリスト予想を上回った第2四半期の売上高よりもよい売上高を想定しているようにも見えます。今後も引き続き楽しみです。

ちなみに、現在の価格は新ガイダンスを利用してPSRを計算しても、2018年9月末の水準と同じで、特に割高にも見えていません。

より長いスケールでの(前四半期までの)四半期ごとの売上高の推移は以下をご覧ください。

また、ボリンジャーバンドを描いたグラフは以下の通りです。

気になる景気循環セクターとディフェンシブセクター

9+

景気循環セクターは景気に敏感に反応し、収益変動性と営業レバレッジが高い業種のことで、例えばテクノロジーセクター、金融セクターなどがそれにあたります。景気循環セクターの商品やサービスは、一般的に高価で日常生活に直結しないものが多いため、経済が停滞しているときには購入が控えられることが多いです。このため、景気が冷え込むと、景気循環セクターの企業の収益は特に低下することになります。

一方、ディフェンシブセクターは、安定的な需要を見込める商品やサービスを提供する業種で、食品メーカーやスーパー、薬局などの生活用品店等を含みます。景気の悪化により消費者の収入が減っても、食料品や医薬品の支出が大幅に減少することはあまりなく、企業の収益低下が比較的穏やかなセクターです。

人口動態を考えたときに米国経済のほうが日本経済より成長率が高くなりやすいと考えられますので、景気循環セクターを代表するETFとディフェンシブセクターを代表するETFと、それぞれ米国のもののパフォーマンスを以下にまとめています。

景気循環セクターを代表するETFには以下のものがあります。

  • テクノロジー・セレクト・セクターSPDR ファンド <XLK>
  • 金融セレクト・セクター SPDRファンド <XLF>

一方、ディフェンシブセクターを代表するETFには以下のものがあります。

  • ヘルスケア・セレクト・セクターSPDRファンド <XLV>
  • 公益事業セレクト・セクターSPDRファンド <XLU>

一般的には、景気拡大期の前に景気敏感セクターETFを購入し、後退期に入る前には代わりにディフェンシブセクターETFを購入するということを繰り返せば常に収益を上げ続けることができるではないかと考えられており、これをセクターローテーション戦略と言います。

では、年初来の新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴うロックダウンなどの影響、そして先行き不透明感を持ちながらも徐々に進展している回復期に対応するうえで、セクターローテーション戦略は機能しているのでしょうか。

finvizのグラフはセクターごとの変化を大きくとらえるうえで大変便利です。以下のグラフは2020年7月30日時点のスクリーンショットです。興味深い部分を黄色の枠で囲んであります。

リアルタイムの数字は、是非一度こちらよりご覧ください。

上記の年初来のパフォーマンスをご覧いただくと、景気循環セクターの代表であるテクノロジーセクターは大幅に上昇する一方、同じ景気循環セクターの代表である銀行セクターは大幅に下落しています。同様に、ディフェンシブセクターの代表であるヘルスケアセクター(特に診断&研究)が大幅に上昇する一方、同じディフェンシブセクターの航空&防衛セクターやエネルギーセクターは大幅に下落しています。

それぞれのセレクト・セクターSPDRファンド(ETF)のパフォーマンスについてもグラフにしてみました。2019年末を1とした累積のパフォーマンスのグラフは以下の通りです。

それぞれ、青色がテクノロジーセクター(景気循環)、茶色がヘルスケアセクター(ディフェンシブ)、緑色が公益事業セクター(ディフェンシブ)、赤色が金融セクター(景気循環)に連動するETFを表しています。

景気循環セクターとディフェンシブセクターという切り口では年初来のパフォーマンスをきれいに捉えることができない状況です。

ただ、これを「テクノロジー」vs. 「グローバリゼーション」という切り口で見るとパフォーマンスを分類できます。テクノロジーが商品を「進化」(縦)させ、グローバリゼーションがそれを「横展開」(横)するイメージです。これまでのグローバリゼーションの流れからテクノロジーに時代のフォーカスが勢いをつけて変わってきているように見えます。

「縦軸」のテクノロジーセクターや医療セクター(診断&研究)が大幅に上昇する一方、「横軸」グローバリゼーションの恩恵を本来受ける航空セクターやエネルギーセクター、銀行セクターは回復が遅れているわけです。

これまでの景気循環と異なり、新型コロナウィルスの感染拡大というマクロ経済にとって外因性のショックで経済活動が急激に冷え込んだため、通常の景気循環と異なり、レジームの転換が起こりつつあるともいえます。

今後の投資にあたっては、縦軸のセクターによりフォーカスを当てて時代の流れに注目していく必要があるのではないかと考えています。

ご参考になれば幸いです。

気になるポートフォリオ運用でのヘッジについて

6+

iDeCoの制度を活用されて追加的な確定拠出年金で資産形成をされている投資家の方々も多いかと思いますが、株などのリスク性資産を活用して成長のエンジンとされている一方、急激なリスクオフに備えて債券などのファンドを一部組み入れていることと思います。

以前、日本人の投資家(円の投資家)にとって、債券へのアロケーションの代わりに金に投資するファンドを活用するというアイディアをご紹介しました。

今回、iDeCoから投資できることが多い、たわらノーロード 国内債券、たわらノーロード 先進国債券<為替ヘッジあり>、 ステートストリート・ゴールドファンド<為替ヘッジあり>の3つでパフォーマンスの見え方がどのように違うかグラフにまとめてみました。

それぞれのファンドについて簡単にまとめると以下の通りです。

たわらノーロード 国内債券

「国内債券パッシブ・ファンド・マザーファンド」を通じて、主として国内の公社債に実質的に投資し、NOMURA-BPI総合に連動する投資成果を目指す運用です。

たわらノーロード 先進国債券<為替ヘッジあり>

「為替フルヘッジ外国債券パッシブ・ファンド・マザーファンド」を通じ、主として海外の公社債に実質的に投資し、FTSE世界国債インデックス(除く日本、円ベース、為替ヘッジあり)に連動する投資成果を目指す運用です。

ステートストリート・ゴールドファンド<為替ヘッジあり>

主要投資対象は、金現物拠出型上場外国信託「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア」。その投資金額相当額の米ドルについて、原則として為替ヘッジを行うことにより、金地金価格を示す「LBMA午後金価格(1トロイオンス当たり/米ドルベース)」の円ヘッジベースの動向を反映する投資成果の獲得を目指す運用です。

以下のグラフをご参照ください。

上のグラフを見ると、2020年3月半ばに新型コロナウィルスの感染拡大とそれにと伴うロックダウンにより市場に大きなストレスがかかった時に、②たわらノーロード 先進国債券<為替ヘッジあり>、 ③ステートストリート・ゴールドファンド<為替ヘッジあり>は、価格が上昇し、ヘッジ目的を果たせたものの、①たわらノーロード 国内債券については、すでに円金利が低くなってしまっており、より一層の金利の深堀りは発生せず、ヘッジ機能を果たしたとは言えません。

このため、ヘッジ部分については、②たわらノーロード 先進国債券<為替ヘッジあり>、 ③ステートストリート・ゴールドファンド<為替ヘッジあり>の2つを市場の動向を見ながら、機動的にアロケーションを調整していくということが役に立つかもしれません。

その際、ざっくりと金の価格のボラティリティ(変化幅)は、金利の変化に伴う債券価格のボラティリティの3倍近くあるので、②から③に置き換える場合は、その量は1/3とし、残額をリスク資産とヘッジ部分に割り振る、もしくは、残額をリスク資産に投資することができると考えられます。

ご参考になれば幸いです。

気になるアメリカンエクスプレスの四半期決算(2020-2Q)

5+

アメリカン・エクスプレスが米国時間2020年7月24日第2四半期(2020年4~6月期)の決算を発表しました。

<2020-2Q>
売上高:$7.68Bn vs. アナリスト予想 $8.25Bn
EPS: $0.29 vs. アナリスト予想 -$0.11

EPS(一株当たり利益)はアナリスト予想を上回ったものの、売上高はアナリスト予想を下回りました。

アメリカンエクスプレスには、3つのセグメント(消費者向け、ビジネス向け、ネットワーク経由)があります。当四半期終了時点でのセグメント毎の請求残高の割合は、以下の通りでした。

  • Global Consumer(消費者向け): 44%
  • Global Commercial(ビジネス向け): 41%
  • Global Network Services(ネットワーク経由): 15%

高所得者向けのアメリカン・エクスプレスカードという印象がありますが、消費者向けとビジネス向けがほぼ半々になっています。

全般的に当四半期は新型コロナウイルス感染抑制に向けた世界的なロックダウンがカード利用に響いたといえます。

特に影響を受けたのが、グローバルな大企業向けの出張費用(Travel & Expense、以下T&E)関連です。Global CommercialでT&E関連の成長率(前年対比)が-80%、グローバルな大企業向けが-55%となっています。新型コロナウィルスの感染拡大ならびにそれに伴う移動制限により成長率が大幅なマイナスになっています。

また、当四半期、アメリカンエクスプレスは6億2800万ドルを貸倒引当金繰り入れとして、引当金繰入額と債務償却費用の合計が16億ドルとなりました。これは、前年同期の9億ドル弱から急拡大しており、業績を圧迫しました。

ご参考までにアメリカンエクスプレスとビザの株価の推移を2019年8月から2020年7月24日まで描いてみました。

ビザはロックダウン本格化前の水準にほぼ戻りつつありますが、アメリカンエクスプレスは年初来-22%と大きく出遅れています。

これは、アメリカンエクスプレスがコーポレートカードで出張費用の管理を一括して行うソリューションなど、ビジネスと旅行者に注力して来たからと言えます。

興味深いことに投資の神様と言われるウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャーハサウェイがアメリカンエクスプレスの筆頭株主です。バークシャーハサウェイは、航空会社にも広く投資をしていました。

(なお、航空会社株については、2020年5月のバークシャーハサウェイの年次総会で、保有していたデルタ航空、アメリカン航空、ユナイテッド航空、サウスウエスト航空の株式を投げ売りし、すべて売却したことを発表しています。)

ウォーレン・バフェット氏のアメリカンエクスプレス社への投資と、航空会社への投資の共通項を考えると同氏は将来のますますの「グローバリゼーション」を見据えたものであったと言えそうです。ただ、足元はコロナ禍の影響もあり、急速な逆回転をしています。コロナウィルスに対するワクチンが開発されるなどした場合、再度「グローバリゼーション」の流れが再度出てくる可能性はありますが、それまでは「テクノロジー」にフォーカスが当たる展開になりそうです。

ご参考までにカードの貸倒懸念が株価に与える影響を見るために、リーマンショック前後の株価をご紹介します。当時はアメリカンエクスプレスの株価は30ドルから1/3の10ドル未満まで6か月ほどかけて低下していきましたが、その後3か月ほどでその大半を戻しました。

新型コロナウィルスの感染抑制のための移動制限などがなくなれば、株価が修正する可能性がありますが、予想PERが足元は20倍を超えており、平均的には10-15倍であったことを考えると株価は割高と言えそうです。

株価の調整局面で予想PER10-12倍程度であれば、よいエントリーポイントになる可能性があります。

気になる米国株投資に伴う為替リスク

7+

国内株と米国株ではパフォーマンスに非常に大きな違いがあります。以下のグラフをご参照ください(ともに日本円でのパフォーマンスです)。

ITバブル崩壊、世界金融危機などを経ても確りと復活する米国の株式市場の力強さが、我が国の株式市場と比べて顕著です。

ただ、米国株への投資は為替ヘッジをしない限り、米ドル資産への投資となり、日本円の投資家にとってドル・円の為替リスクを含みます。

そこで日本人にとって悪夢の民主党政権下で、酷い円高に苦しんでいた時、米国株のパフォーマンスを日本円で見た場合どのように見えるかを計算してみました。

S&P500指数の2000年以降の推移を米ドル建てと円建てでどのように見え方が違うかを描いたグラフが以下の通りです。比較のため、1999年12月31日を1としています。

どうでしょうか。思ったよりも為替リスクの影響は大きくないようにも見えます。

2008年から2014年までの期間で2008年年初を1として再計算してみても、2013年には円建てのパフォーマンスが、米ドル建てのパフォーマンスにほぼ追いついてきています。

ただ、米国株への投資に含まれる為替リスクの影響は確かにあります。そして、政治は為替に大きく影響を与えます。

実際、S&Pは2009年前半から回復を始めていますが、日本円の投資家にとっては為替に伴う損失が解消したのは、第46回衆議院議員選挙で自民党が圧縮し、政権与党に戻ってくるまで4年近く長く待たなくてはなりませんでした。

しかしながら、中長期の視点で見ると、(自民党のような適切な政権与党であれば為替の効果より)株式市場の成長エンジンの違いの効果の方がより大きく出てくるともいえます。

気になる米ハイテクセクターの急成長銘柄

5+

新型コロナウィルスの感染拡大とそれに伴うロックダウンの影響から市場に大きなストレスがかかった3月以降のGAFAMの株価の上昇がよく取り上げられますが、クラウドサービスの成長の恩恵を受けているAmazon、Microsoft、Intel、IBMの4銘柄について、2010年1月を100としてグラフを描くと以下の通りです。

2015年1月までは4銘柄とも株価の変化という観点からは大きな違いはなかったものの、それ以降の違いが顕著です。Amazonは2010年1月時点の株価の24倍弱の株価になる一方、Microsoftは9倍弱、Intelは4.6倍、IBMは1.7倍になっている。ハイテクセクターの成長性を如何にとらえるかが大きな投資判断になっている。

10年後20倍以上となっているような次世代の銘柄を発掘するのが株式投資の醍醐味の1つだと思います。ちなみに、2014年末時点ならびに2020年7月24日時点のの各種指標は以下の通り。

(株価成長に違いが出てくる2015年以前: 2014年12月31日時点)
Amazon: EPS $-0.54、PER n/a、PBR 13.44倍、PSR 1.62倍
Microsoft: EPS $2.48、PER 16.99倍、PBR 3.77倍、PSR 3.77倍
Intel: EPS $2.33、PER 13.80倍、PBR 2.73倍、PSR 2.93倍
IBM: EPS $11.94、PER 11.41倍、PBR 11.23倍、PSR 1.49倍

(2020年7月24日時点)
Amazon: PER 143.76倍、PBR 23.00倍、PSR 5.12倍
Microsoft: PER 33.55倍、PBR 13.34倍、PSR 11.18倍
Intel: PER 9.80倍、PBR 2.81倍、PSR 2.96倍
IBM: PER 17.26倍、PBR 5.55倍、PSR 1.49倍

AmazonのこれまでのEPSとPERのグラフは以下をご参照ください。Amazonは足元の株高については、EPSとの乖離の可能性が気になります。

一方で、Intelについては大きな株価下落を経て割安感が出てきています。

気になるインテルの四半期決算(2020-2Q)

5+

インテルが米国時間2020年7月23日第2四半期(2020年4~6月期)の決算を発表しました。

<2020-2Q>
売上高:$19.7Bn vs. アナリスト予想 $18.6Bn
EPS: $1.23 vs. アナリスト予想 $1.11

売上高、EPSともにアナリスト予想を上回りました。
売上高の内訳は、データセンター向けが$10.2Bnで、クライアントPC向けが$9.5Bnでした。

前年同期比で、クラウドサービス事業者向け(DCG)の売上高は+43%、パソコン向け(CCG)の売上高が+7%でした。CCGはアナリスト予想の最も高いものを上回り、DCGもアナリスト予想を上回りました。クラウドサービス事業者向けセグメントは売上高/成長率共に大きく、インテルにとって成長のエンジンになっているといえます。

<セグメントの説明>
DCG — 企業や政府といったクラウドサービス提供業者向けや、通信業者向けのセグメント
IOTG — IoT関連の組み込み系のセグメント
Mobileye — コンピュータービジョンや機械学習ベースのセンサー、データ分析、自動運転のセグメント
NSG — メモリーやストレージのセグメント
PSG — FPGA(ハードウェア言語により論理回路を書き換えることが出来る機器)やASIC(ユーザーに合わせてカスタマイズされた集積回路のIC)のセグメント
CCG — クライアントコンピューター(エンドユーザー)向けのパソコンのセグメント

<2020-3Q予想>
売上高: $18Bn (-6% 対前年同期比)
EPS: $1.24 (-11% 対前年同期比)

<通期予想>
前回の四半期決算では通年予想をしないことにしましたが、今回は会社の通年予想を発表しました。

売上高: 会社予想 $75Bn vs. アナリスト予想 $73.9Bn
EPS: 会社予想 $4.85 vs. アナリスト予想 $4.81

<その他>
今回、インテルは回路線幅7ナノメートルの半導体技術の開発が予定より6カ月遅れていると明らかにしました。また、自社一貫生産に強みを持っているインテルですが、外部への生産委託拡大を検討する方針を示しました。

クラウドサービスへのシフトや世界的な5G本格導入などから、中長期的には非常に興味深い銘柄ですが、3Qの売上予想は若干弱気です。

足元、予想PER、PBRともに若干割高ですが、7ナノメートルの半導体技術の開発の遅延や3Qの見通しなどから調整する局面では、中長期的な投資家にとって投資妙味が出てくる可能性が高いです。

気になるマイクロソフトの四半期決算 (2020-4Q)

5+

マイクロソフト<MSFT>が米国時間2020年7月22日第4四半期(2020年4~6月期)の決算を発表しました。

売上高:$38.0Bn vs. アナリスト予想 $36.5Bn
EPS: $1.46 vs. アナリスト予想 $1.34

売上高、EPSともにアナリスト予想を上回りました。

以下のセグメントごとの当四半期の売上高と成長率を見ると、どのセグメントもしっかりと成長をしていますが、特に、Intelligent Cloud事業の成長が目を引きます。

Intelligent Cloud事業の成長は、Microsoft Azureが+47%でけん引してます。以下のセグメント毎の売上高ならびに営業利益の変化をご参照ください。+47%の数字はアナリスト予想の+49%を下回りましたが、Intelligent Cloudのセグメントがしっかりと成長してきていることが分かります。ちなみに、市場では、AmazonやIBMのクラウドサービスの拡大スピードとの相対感が気になっているようです。

なお、Microsoft AzureはIaaSとPaaSを提供しています。

IaaSとはInfrastructure as a Serviceの略で、仮想マシンをクラウド上にインターネット経由で作成し利用するサービスです。仮想化レイヤーより下の管理は、マイクロソフトが責任をもって実施するというサービスです。OSを含む、それ以上のレイヤーは利用者の責任です。

PaaSとはPlatform as a Serviceの略でで、IaaSのサービス + 仮想マシンのOSをマイクロソフトがが責任をもって管理してくれるサービスです。

マイクロソフトが提供するIaaS / PaaS が、利用者のニーズをある程度しっかりとらえているといえるかと思います。

マイクロソフトの業績見通しですが、以下をご参照ください。それぞれのセグメントでしっかりとした売上を見通しているようです。

一方で、足元の株価の水準ですが、マイクロソフトの予想PERは、過去1年間はおよそ25倍から29倍であったのに対し、足元およそ34倍となっており、割高感があります。PBRも同様に、過去1年間は10倍から11倍強であったのに対し、足元14倍を超えており、割高感があります。

中長期的には非常に成長が楽しみな銘柄ですが、足元の割高感が落ち着いてからのほうがいいかもしれません。

気になるテキサス・インスツルメンツの四半期決算 (2020-2Q)

5+

デジタル時代の進展と共にアナログICの出荷数量がデジタルICよりも増えていることをご存知でしょうか。ICの出荷数量はアナログICの方がデジタルICを徐々に凌駕してきているのです。

デジタル回路に入る前の人間とのインタフェースやセンサとのインタフェースはアナログICを必要とします。CPUとメモリはデジタルICですが、I/Oインタフェースや周辺回路の一部はアナログICです。

古いデータですが、以下のグラフをご参照ください。

テキサス・インスツルメンツは、売上高世界7位の半導体メーカーで、アナログICが強みです。早い段階でデジタルからアナログへ舵を切った先見性があったとも言えます。2019年のアナログIC売上高は102億2300万米ドルで、アナログICの世界シェアは19%で1位でした。

米国時間の2020年7月21日、テキサス・インスツルメンツは第2四半期決算を発表しました。

第2四半期はアナリスト予想や自社予想を超える結果でした。ただ、テキサス・インスツルメンツ社はこれまで力強い成長を続けてきた自動車用半導体の弱い需要に引き続き直面しているとのことでした。2020年5月には自動車用半導体の需要も底を打ったようだとの見方をしています。

当四半期は、売上が前年同期比で-12%となる$3.24Bn(約3470億円)でしたが、アナリスト予想の$2.94Bn(約3150憶円)を超えてきました。(売上の会社予想は$2.61Bnから$3.19Bnでした。)

EPSも一株当たり$1.48で、アナリスト予想で一番高かった$0.87を超えてきました。前年同期のEPSは$1.36でそれよりも上昇しました。ただ、一時的な収益として当初ガイダンスに入っていなかった$0.33の利益が$1.48のEPSには入っているとのことです。(EPSの会社予想は、$0.64から$1.04でした。)

予想PER、PBR共に、2020年3月末を除きこれまでよりも高めになっているので割高感があります。

アナログICの将来的な需要増を見据え、アナログICでのシェアトップの企業として非常に興味深い銘柄です。フェアバリューを意識して、調整局面での投資の対象として有望銘柄の一つと思います。

気になるIBMの四半期決算 (2020-2Q)

4+

IBMは米国時間の7月20日、2020会計年度第2四半期決算を発表しました。
売上高は予想を上回りましたが、2期連続で前年同期比減になりました。

第2四半期の売上高は前年同期比5.4%減の181億ドル、非GAAPベースのEPSは2.18ドルだった。アナリストらは売上高を177億2000万ドル、EPSを2.07ドルと予想していました。

セグメント情報は以下をご参照ください。

上記のセグメント情報を見ると、クラウドおよびコグニティブソフトウェア部門の売上(Total Segment Revenue)65億ドルと、税引前マージン(Pre-tax Margin)26.3%の組み合わせが突出していることが分かります。

グローバルビジネスサービス部門、グローバルテクノロジーサービス部門、システム部門の売上高も大きいですが、Pre-tax Marginは、それぞれ9.2%、3.8%、11.8%となっています。

クラウドおよびコグニティブソフトウェア部門のPre-tax Incomeの貢献はそれぞれのセグメントからの貢献の総和に対してなんと62%になります。IBMの営業収益のコアになっていることが分かります。

今後もクラウドおよびコグニティブソフトウェア部門の動向がキーになると思われるIBMですが、予想PER 11.4倍で足元の株価の水準は若干割高と思われます。

IBMはベータが1.2と高めの銘柄ですので、価格をモニタリングしながら、調整局面でフォローアップ対象の銘柄と言えそうです。