投稿者: CFA

米国証券アナリスト、日本証券アナリスト検定会員。また、経営学修士号(MBA)保持者ならびにベータ・ガンマ・シグマ所属。 仕事でも色々なことを考えるので、投資にあたって面白いと思った情報を継続的にご紹介します。皆様のご投資の参考になればと思い、Finepresa(フィネプレサ)を立ち上げました。 よろしくお願い致します。

気になる高齢社会における資産形成

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少し前になりますが、金融庁が金融審議会 「市場ワーキング・グループ」報告書 ―「高齢社会における資産形成・管理」をまとめています。

その中で、年代別の老後の不安がまとめられています。

世代別の老後の備えと合わせてみると、お金が(60代から70代を除いて)老後不安の第1位となっています。

加えて、世代別老後への備えを見てみると、十分な金融資産と想定している額と実際の現在の金融資産額とに大きな差異があります。これが、お金が老後不安の一位となっている大きな理由の一つと言えます。

では、若い世代は何をして準備をしたらいいのか。金融庁のアドバイスは以下の通りです。

  • 「人生 100 年時代」においてこれまでよりも長く生きる人が多いことを前提に、老後の生活も満足できるものとなるよう、早い時期からの資産形成の有効性を認識する。
  • 生活資金やいざというときに備えた資金については元本の保証されている預貯金等により確保しつつ、将来に向けて少額からでも長期・積立・分散投資による資産形成を行う
  • 自らにふさわしいライフプラン・マネープランを検討する(必要に応じ、信頼できるアドバイザー等を見つけて相談する)。
  • 金融サービス提供者が顧客側の利益を重視しているかという観点から、長期的に取引できる提供者を選ぶ。

金融庁の報告書では、つみたてNISAを例に挙げて説明していますが、そこで紹介されている資産形成にあたってのポイントは十分に納得できるものです。特に、一番最初にある「投資を始めたら、長期間続けること!」です。これが資産形成にとって最も重要と考えています。

もう一つ興味深いデータがあります。現役時代から投資を行ってきた人は退職金でも投資を行う傾向がとても高いです。これは、現役時代から投資に取り組むことが重要ともいえます。人生100年時代と言われる長寿化において、資産寿命を少しでも長くする必要があります。

現役の時から、少しでも早めに投資を始め、少しでも長くお金を証券市場に投資しておくことが最も重要と考えます。

ご参考になれば幸いです。

気になるドル円相場

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米国株や海外へ投資をする際、為替ヘッジをしない限り、株価変動リスクに加えて、為替変動リスクを負っていることになります。為替相場の変動にも気を付ける必要があります。

ドル円相場ですが、7月上旬以降円高基調が継続しています。

一方で、先週は週末にかけて、米雇用統計の結果(7月の非農業部門雇用者数は、前月比176万人増。一方、アナリスト予想は前月比148万人増。)を受けたドル買い圧力や、米中先鋭化リスクを背景としたリスク回避のドル買いが支援材料となり、結局105.88で先週を終えています。

引き続き、ファンダメンタルズで注目は、さらなる金融緩和の余地の大きさです。米国のほうが日本よりも余地があるので(金融緩和をすると当該通貨は一般的に減価します)、円高ドル安に向かいやすい地合いが続く可能性があります。

米国株に投資する日本の投資家にとっては足元の為替の状況は若干アゲインストな雰囲気がありますが、金融緩和でお金が株式市場に向かうことや株式市場の成長エンジンの違いを勘案すると、米国株投資には引き続き魅力があるように見えます。

テクニカル分析用にいくつのグラフを描いてみました。ご参考になれば幸いです。

気になる東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープン

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投資信託をお探しの方々にお役に立てればと、今日は私が気になっているファンドをご紹介します。「東京海上・ジャパン・オーナーズ株式オープン」です。

東京海上アセットマネジメントによって運用されている投資信託で、設定日は2013年4月25日となており、これまでに7年強のパフォーマンスデータがあります。2020年7月末時点で設定来のリターン(税引前分配金再投資のリターン)はなんと+275.70%で、過去3年間のリターン(累計)が+75.16%となっています。

興味深いのはその特徴です。わが国の金融商品取引所上場株式のうち、経営者が実質的に主要な株主である企業を主要投資対象とします。故に、ジャパン・オーナーズ株式という名前になっているようです。

経営者が実質的に主要な株主であるからこそ、エージェンシー問題(株主と取締役の利益対立)に代表されるような組織的な問題が少なく、しっかりとした成長を期待できるのではないかという理屈です。

また、銘柄選定に際しては、経営者のリーダーシップに関する定性分析を重視しつつ、企業の成⻑性・収益性に比較して割安であると判断される銘柄を選別しているようです。

「リーダーシップなど定性面重視+バリュー投資」という非常に興味深い投資方針と思います。

中小型株で85%を超えるポートフォリオとなっており、組入上位銘柄は、日本電産<6594>(総合モーターメーカー)が5.2%、イズミ<8273>が4.2%(ショッピングセンターと食品スーパー)、前田工繊<7821>(インフラ関連の補強や補修に必要な建築・土木資材の製造販売)が同じく4.2%等となっています。

国内株で個別投資をされている投資家の方々でも、銘柄の重複感は小さく、ポートフォリオに組み入れるとリスクを抑えつつ、リターンの向上を図れる可能性があります。

また、一般NISA等で投資信託をお探しの場合は、とても興味深い投資先ファンドと言える可能性があります。

きらりと光るファンドが皆様の投資のお役に立てれば幸いです。

気になる資金の流出入と一目均衡表(2020年8月6日)

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バンク・オブ・アメリカのレポートによると、8月5日までの1週間で、現金や金、投資適格債に資金が流入したとのことです。一方で、株式ファンドからは74億ドルが流出している模様です。

背景として、米議会で追加景気対策が可決されないリスクがあるとの懸念が浮上しているとのことです。

大まかな内訳は、過去1カ月間、資金流入が続いていた欧州株ファンドからは10億ドルが流出し、米国株ファンドからも過去6週間で最大の65億ドルが流出しているとのこと。新型コロナウイルスの感染再拡大のリスクと、米議会で追加景気対策が可決されないリスクについて足元モニターを継続する必要があるようです。

米国大統領選がある年ですので、米議会で追加景気対策が可決されないリスクについてはどの程度可能性があるのか個人的には疑問です。

むしろ、追加景気対策が出てくる可能性が高いと考えています。

QQQについて一目均衡表を描いてみました。以下のグラフをご参照ください。

一般的に、一目均衡表では以下の3つの条件を満たした時を「三役好転」といい、強い「買いポイント」として捉えられます。

①転換線(赤色)が基準線(青色)の下から上へ抜けた状態で、
②雲の上でローソク足が推移している、
③遅行線(赤色の点線)が株価を抜く

現在のグラフを参照いただくと、①、②、③を満たしており、強い買いのポイントと読めます。

因みに、本日発表された非農業部門雇用者数(7月)ですが176万3000人で、失業率が10.2%でした。これはアナリスト予想の148万人と10.6%という数字と比べてよい結果でした。

気になるQQQ

6+

QQQは人気の米国ETFで,2020年8月6日時点で資産総額は約127億ドル(約13.4兆円相当)となっています。正式な名称は、Invesco QQQ Trust Series 1;インベスコ QQQ 信託シリーズ1で、NASDAQ100指数への連動をめざすETFとなっています。

NASDAQには、米国内外の3000以上の企業が上場していますが、その中で時価総額の大きな100銘柄で構成される指数がNASDAQ100指数です。従って、当該指数との連動を目指すQQQの構成銘柄は世界的な大企業となっており、2020年8月6日時点で、アップル(13%)、マイクロソフト(11%)、アマゾン(11%)、アルファベット(7% = GOOGL + GOOG)、フェイスブック(4%)などが組み入れの上位銘柄となっています。

QQQは、3月のマーケットにストレスがかかった際には大きく下落したものの、8月5日現在で年初来約+26%となっています(2020年8月5日終値:271.05)。

本日は趣を変えて、テクニカル分析の活用編です。

QQQのボリンジャーバンドを描くと以下の通りです。

ボリンジャーバンドのグラフを参照していただくと、QQQの株価はボリンジャーバンドの移動平均+1σにほぼ沿って上がってきており、割高感があるため、なかなかボリンジャーバンドを活用して買いに入りにくいグラフに見えます。

短期のトレーディングでは、MACDライン(青色)とシグナルライン(オレンジ色)のクロスで投資行動すべきタイミングがわかると一般的には言われています。そして、足元、まさに青色がオレンジ色を上回ってきているので、上昇のモメンタムがあるように見えます。

ボリンジャーバンドでは割高に見えるものの、MACDでは上昇モメンタムが出てきているように見えるというのが、QQQの状況です。

マクロ経済の先行きとしては新型コロナウイルスの感染再拡大の懸念などもありますが、致死率も低下してきており、もうしばらくはQQQの投資家にとって楽しみな状況が続きそうです。

気になるつみたてNISAでの投資対象

9+

昨日引越しをしていまして、記事のアップデートをお休みさせていただきました。今後とも皆様のお役に立てるような記事を配信していきます。引き続きよろしくお願いいたします。

さて、本日ですが、皆様つみたてNISAをご存知でしょうか。

つみたてNISAとは、2018年1月からスタートした積立投資専用のNISA(少額投資非課税制度)のことです。従来からあるNISAを通称・一般NISAと呼んで区別しています。つみたてNISAは一般NISA同様、投資で得られた売却益や分配金は非課税となります。

金融庁が(一般)NISAを導入した背景には、現役世代を中心とした一般の人に安定的に資産を形成してもらいたいという想いに基づいて2014年にスタートしました。ところが、主に当該制度を利用しているのは60代、70代の高齢者の方々で、短期的な値上がりを求めて、まとまったお金を一度に投資するスタイルを好む人たちに積極的に利用されていることが分かりました。

そこで、2018年1月より、一般NISAと異なる投資可能期間や非課税期間、年間投資上限額などでつみたてNISAが始まりました。

つみたてNISAは、投資可能期間が2037年12月末までで投資した年から最長20年間売却益が非課税です。年間投資上限額は40万円に設定されています。一方で、投資対象商品が限定的で、長期の積み立て・分散投資に適した一定基準を満たした投信やETFになっています。

投資対象が限定的なために、つみたてNISAであるあるなのが、何に投資しようと悩むことです。

本日はそのような方々に、アイディアの一つをご紹介します。

「フィデリティ・欧州株・ファンド」というファンドです。こちらは、つみたてNISAで投資可能です。

MSCI ヨーロッパ・インデックス(税引前配当金込/円ベース)がベンチマークになっているものの、欧州および世界の主要拠点のアナリストによる企業調査結果を活用し、現地のポートフォリオ・マネージャーによるボトム・アップ・アプローチを重視した運用を行っています。興味深いのがそのパフォーマンスです。

2020年6月30日時点で、累積リターンは以下の通りです。
直近6か月: -1.90% vs. ベンチマーク -13.21%
1年: +10.57% vs. ベンチマーク -6.19%
3年: +31.75% vs. ベンチマーク -2.27%

確りとした超過収益を上げており、ベンチマークが苦戦する中、パフォーマンスは比較的良好です。

加えて、マクロ経済の将来性としては、EU首脳らは2020年7月21日、新型コロナウイルス対策として、7500億ユーロ(約92兆円)規模の復興基金案に合意しています。加盟国27カ国はこの復興基金を使い、新型ウイルスの流行によって打撃を受けた経済を立て直す方向です。これは、補助金と融資を組み合わせたもので、EUにとっては過去最大の共同債務となります。

まさに、フランスのマクロン大統領が言う通り、「ヨーロッパにとって歴史的な日」でした。

足元でも、本日、8月5日にEU統計局が発表した6月のユーロ圏の小売売上高は数量ベースで前月比5.7%の増加となりました。ロックダウン導入前の2月の水準を回復していることが分かります。

個人的には米国への投資を強く選好していますが、つみたてNISAの投資対象の中において、ベンチマークに強く引きずられず、超過収益がきらりと光るファンドとしてご紹介しました。

ご参考になれば幸いです。

気になるピンタレストの四半期決算(2020-2Q)

7+

ピンタレスト<PINS>が米国時間2020年7月31日に、第2四半期(2020年4~6月期)の決算を発表しました。

<2020-2Q>
売上高:$272.3mn vs. アナリスト予想 $254.8mn
EPS: -$0.07 vs. アナリスト予想 -$0.13
売上高成長率(over 1yr): +4.2%

売上高、EPS(一株当たり利益)ともにアナリスト予想を上回り、売上高成長率も前年同期比で+4.2%となりました。

特に興味深いのが当四半期、MAU(Monthly Active Users:月間アクティブユーザー数) が4億1600万人となり、前年同期比の39%増で、アナリスト予想である3億7900万人を大幅に上回る結果になりました。

合わせて、売上高成長率が7月も前年同月比で約50%増となっていることから、非常に良い決算でした。7月31日終値は$34.29で、前日比+36.13%の強烈な株価上昇でした。ただ、今後も楽しみな銘柄です。

Internationalセグメントでのユーザー当たりの売上増加が課題と言えそうです。

気になるアマゾン・ドット・コムの四半期決算(2020-2Q)

8+

アマゾン・ドット・コムが米国時間2020年7月30日第2四半期(2020年4~6月期)の決算を発表しました。

<2020-2Q>
売上高:$88.9Bn vs. アナリスト予想 $81.4Bn
EPS: $10.3 vs. アナリスト予想 $1.46

売上高、EPS(一株当たり利益)ともにアナリスト予想を上回りました。
特に、EPSはアナリスト予想を7倍以上上回りました。非常に良い決算でした。
また、売上高成長率も前年同期比+40%でした。(下図をご参照ください。)

非常に良い決算です。

また、アマゾン・ドット・コムの第3四半期の新ガイダンスですが、売上高は$87.0Bn~$93.0Bnを予想しています(0.20%の為替差損の想定を含みます)。

第3四半期はアナリスト予想を上回った第2四半期の売上高よりもよい売上高を想定しているようにも見えます。今後も引き続き楽しみです。

ちなみに、現在の価格は新ガイダンスを利用してPSRを計算しても、2018年9月末の水準と同じで、特に割高にも見えていません。

より長いスケールでの(前四半期までの)四半期ごとの売上高の推移は以下をご覧ください。

また、ボリンジャーバンドを描いたグラフは以下の通りです。

気になる景気循環セクターとディフェンシブセクター

9+

景気循環セクターは景気に敏感に反応し、収益変動性と営業レバレッジが高い業種のことで、例えばテクノロジーセクター、金融セクターなどがそれにあたります。景気循環セクターの商品やサービスは、一般的に高価で日常生活に直結しないものが多いため、経済が停滞しているときには購入が控えられることが多いです。このため、景気が冷え込むと、景気循環セクターの企業の収益は特に低下することになります。

一方、ディフェンシブセクターは、安定的な需要を見込める商品やサービスを提供する業種で、食品メーカーやスーパー、薬局などの生活用品店等を含みます。景気の悪化により消費者の収入が減っても、食料品や医薬品の支出が大幅に減少することはあまりなく、企業の収益低下が比較的穏やかなセクターです。

人口動態を考えたときに米国経済のほうが日本経済より成長率が高くなりやすいと考えられますので、景気循環セクターを代表するETFとディフェンシブセクターを代表するETFと、それぞれ米国のもののパフォーマンスを以下にまとめています。

景気循環セクターを代表するETFには以下のものがあります。

  • テクノロジー・セレクト・セクターSPDR ファンド <XLK>
  • 金融セレクト・セクター SPDRファンド <XLF>

一方、ディフェンシブセクターを代表するETFには以下のものがあります。

  • ヘルスケア・セレクト・セクターSPDRファンド <XLV>
  • 公益事業セレクト・セクターSPDRファンド <XLU>

一般的には、景気拡大期の前に景気敏感セクターETFを購入し、後退期に入る前には代わりにディフェンシブセクターETFを購入するということを繰り返せば常に収益を上げ続けることができるではないかと考えられており、これをセクターローテーション戦略と言います。

では、年初来の新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴うロックダウンなどの影響、そして先行き不透明感を持ちながらも徐々に進展している回復期に対応するうえで、セクターローテーション戦略は機能しているのでしょうか。

finvizのグラフはセクターごとの変化を大きくとらえるうえで大変便利です。以下のグラフは2020年7月30日時点のスクリーンショットです。興味深い部分を黄色の枠で囲んであります。

リアルタイムの数字は、是非一度こちらよりご覧ください。

上記の年初来のパフォーマンスをご覧いただくと、景気循環セクターの代表であるテクノロジーセクターは大幅に上昇する一方、同じ景気循環セクターの代表である銀行セクターは大幅に下落しています。同様に、ディフェンシブセクターの代表であるヘルスケアセクター(特に診断&研究)が大幅に上昇する一方、同じディフェンシブセクターの航空&防衛セクターやエネルギーセクターは大幅に下落しています。

それぞれのセレクト・セクターSPDRファンド(ETF)のパフォーマンスについてもグラフにしてみました。2019年末を1とした累積のパフォーマンスのグラフは以下の通りです。

それぞれ、青色がテクノロジーセクター(景気循環)、茶色がヘルスケアセクター(ディフェンシブ)、緑色が公益事業セクター(ディフェンシブ)、赤色が金融セクター(景気循環)に連動するETFを表しています。

景気循環セクターとディフェンシブセクターという切り口では年初来のパフォーマンスをきれいに捉えることができない状況です。

ただ、これを「テクノロジー」vs. 「グローバリゼーション」という切り口で見るとパフォーマンスを分類できます。テクノロジーが商品を「進化」(縦)させ、グローバリゼーションがそれを「横展開」(横)するイメージです。これまでのグローバリゼーションの流れからテクノロジーに時代のフォーカスが勢いをつけて変わってきているように見えます。

「縦軸」のテクノロジーセクターや医療セクター(診断&研究)が大幅に上昇する一方、「横軸」グローバリゼーションの恩恵を本来受ける航空セクターやエネルギーセクター、銀行セクターは回復が遅れているわけです。

これまでの景気循環と異なり、新型コロナウィルスの感染拡大というマクロ経済にとって外因性のショックで経済活動が急激に冷え込んだため、通常の景気循環と異なり、レジームの転換が起こりつつあるともいえます。

今後の投資にあたっては、縦軸のセクターによりフォーカスを当てて時代の流れに注目していく必要があるのではないかと考えています。

ご参考になれば幸いです。

気になるポートフォリオ運用でのヘッジについて

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iDeCoの制度を活用されて追加的な確定拠出年金で資産形成をされている投資家の方々も多いかと思いますが、株などのリスク性資産を活用して成長のエンジンとされている一方、急激なリスクオフに備えて債券などのファンドを一部組み入れていることと思います。

以前、日本人の投資家(円の投資家)にとって、債券へのアロケーションの代わりに金に投資するファンドを活用するというアイディアをご紹介しました。

今回、iDeCoから投資できることが多い、たわらノーロード 国内債券、たわらノーロード 先進国債券<為替ヘッジあり>、 ステートストリート・ゴールドファンド<為替ヘッジあり>の3つでパフォーマンスの見え方がどのように違うかグラフにまとめてみました。

それぞれのファンドについて簡単にまとめると以下の通りです。

たわらノーロード 国内債券

「国内債券パッシブ・ファンド・マザーファンド」を通じて、主として国内の公社債に実質的に投資し、NOMURA-BPI総合に連動する投資成果を目指す運用です。

たわらノーロード 先進国債券<為替ヘッジあり>

「為替フルヘッジ外国債券パッシブ・ファンド・マザーファンド」を通じ、主として海外の公社債に実質的に投資し、FTSE世界国債インデックス(除く日本、円ベース、為替ヘッジあり)に連動する投資成果を目指す運用です。

ステートストリート・ゴールドファンド<為替ヘッジあり>

主要投資対象は、金現物拠出型上場外国信託「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア」。その投資金額相当額の米ドルについて、原則として為替ヘッジを行うことにより、金地金価格を示す「LBMA午後金価格(1トロイオンス当たり/米ドルベース)」の円ヘッジベースの動向を反映する投資成果の獲得を目指す運用です。

以下のグラフをご参照ください。

上のグラフを見ると、2020年3月半ばに新型コロナウィルスの感染拡大とそれにと伴うロックダウンにより市場に大きなストレスがかかった時に、②たわらノーロード 先進国債券<為替ヘッジあり>、 ③ステートストリート・ゴールドファンド<為替ヘッジあり>は、価格が上昇し、ヘッジ目的を果たせたものの、①たわらノーロード 国内債券については、すでに円金利が低くなってしまっており、より一層の金利の深堀りは発生せず、ヘッジ機能を果たしたとは言えません。

このため、ヘッジ部分については、②たわらノーロード 先進国債券<為替ヘッジあり>、 ③ステートストリート・ゴールドファンド<為替ヘッジあり>の2つを市場の動向を見ながら、機動的にアロケーションを調整していくということが役に立つかもしれません。

その際、ざっくりと金の価格のボラティリティ(変化幅)は、金利の変化に伴う債券価格のボラティリティの3倍近くあるので、②から③に置き換える場合は、その量は1/3とし、残額をリスク資産とヘッジ部分に割り振る、もしくは、残額をリスク資産に投資することができると考えられます。

ご参考になれば幸いです。